
婚約者面する闇落ち魔王が私のスローライフを邪魔してきます!(2)
- 発売日2026.09.18
- 価格¥748(税込)
※価格や発売日はストアによって異なります。
転生しても、男心を弄ぶんだな?
前世からアリーゼだけを想い続け、三千年以上もその魂を探していた最強魔王コシュマール。平穏に暮らしたいアリーゼは、勝手に恋人のように振る舞う魔王から目を逸らしつつ、からあげ用の鶏肉を求めて、冒険者として初級ダンジョンへ。ところが突然、魔王の待つ謎の部屋へ転移させられてしまう。しかもその部屋の鑑定結果は「××××するまで出られません」だった! 肝心の部分は伏字だが、男女ふたりきりの密室なら、思い当たるのは“あれ”しかない……!? なんとか回避しようとするアリーゼだが、執着チート魔王から逃げられるはずもなく――。
激重最凶魔王×恋愛偏差値ゼロのウサギ獣人、恋の攻防戦の行方は――!?
人物紹介

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アリーゼ
前世でも今世でも恋愛とは無縁で生きてきた。コシュマールから熱烈に口説かれるも、無意識のうちに深く考えることを避けている様子。魔王だけでなくアリーゼもチート能力を持っているが、本人は気づいていない。

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コシュマール
世界に敵なしの、神より強い魔王。前世からアリーゼを好きだったが報われず、
彼女が異世界転生するまで三千年待っていた。前世で気持ちがまったく伝わっていなかった反省からか、魔王になってからは「やや強め」に気持ちを伝えている様子。
試し読み
「な、なに。ここ」
天蓋付きのベッドもシーツも、カーテンも、絨毯も、ソファーもなにもかもが漆黒色をしていて、ところどころに置かれた間接照明だけが浮かび上がって見える。
「俺の寝室だが?」
「……ひっ! なんてところに連れてくるのよ!」
素早く距離を取り、いちばん大きな扉から逃げようとした。しかし開かない。
力いっぱい神聖力をぶつけても、元素魔法をためしても扉はびくともしない。
闇夜しか映さない窓も、恐ろしく高い天井も、硬く冷たい壁も、すべて傷すらつけられなかった。
「どうして出られないのっ!」
アリーゼは焦りから声を荒らげた。
「ダンジョンによくある、特定の条件を満たさなければ出られない部屋に設定してある。冒険者は困難を乗り越えるのが好きなんだろう?」
「勝手に決めつけないでくれる?」
他の冒険者の嗜好など知らない。そもそもアリーゼは肉を狩りにきただけだ。
「馬鹿なこと言ってないで、早くここから出して。みんなに『夕方までに帰る』って、約束してるんだから」
正教国にいた頃は生き残るためだけに命を狩っていた。でも今は違う。家族になってくれた幼児たちと、笑いあいながらおいしいものを食べるという幸せのために狩りをしている。
誰にも邪魔をされたくない。たとえそれが魔王であろうとも。
「安心しろ。外の時間は止めてある。じっくり条件をクリアすればいい」
RPGなどでは、ダンジョンのボスを討伐することでクリアとなる。しかし目の前にいるのは、月の女神クレールですら白旗を揚げていた最低最悪で凶悪な魔王だ。
たまたま魔獣を大量に討伐してSSランクになっているとはいえ、獣人族のなかでも最弱の部類らしいウサギ獣人のアリーゼに倒せるはずがない。
「条件?」
永遠に閉じ込めるつもりなのかと、慌てて部屋を鑑定してみると、恐ろしい結果がウィンドウに表示された。
◆◆魔王コシュマールの主寝室
現在、特定の条件を満たした場合のみ、鍵の解除が可能
<××××するまで出られません>
「肝心なところが伏字なんだけど……」
尋ねると、魔王は薄っすらと人の悪い笑みを浮かべてみせる。
「言わなくてもわかるだろう? 愛し合う男と女が寝室にふたりきりになってるんだから」
ゆっくりと伸ばされた手を、アリーゼは素っ気なく叩き落とした。
「馬鹿なの!? 設定解除して、ここから出して!」
性交を強要されている状況にようやく気づき、思わず声を荒立てる。
「悪いが、命を懸けて誓約しておいたからな。俺自身でも解除不可能だ」
誓約は差し出す対価の価値で強さが変わるという、ある種の呪いのようなものだ。
神をも怯えさせ、計測不能なほどの力を持った魔王の命を対価に封じられた扉なんて、人類に無理やり開けられるはずがない。
「もうちょっと考えて行動して……っ! なんて最低な部屋を作ってるの!」
どれだけ非難しても、助けは来ない。
部屋を作った魔王本人ですら、解除不可能だとのたまっているのだから。
部屋のあちこちを確認したアリーゼが呆然としていると、ふいに身体が浮かび上がった。
「えっ!?」
とつぜんの浮遊に思わず身をこわばらせるが、ふわりと身体が抱きとめられる。どうやら、魔王が腰かけていたベッドの上に強制転移させられたようだ。
「諦めて身を任せてみたらどうだ? 俺のどこが気に入らないんだ」
